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2004年02月13日
株式会社エス・ディー・アイ
代表取締役 佐藤 正美
 「経営の効率を上げるためにシステム化するのであって、コンピュータ使用の効率を上げるためにシステム化を 図っているのではない。」

さて、上に引用した言葉は、オリヴァ・ワイト氏の言葉です(注)。
1970年代初め頃に出版された著作のなかで述べられています。出版された年代を隠して、この言葉を提示すれば、いまでも、我々エンジニアに対する「心得え」として通用するでしょう--「いまでも」という言いかたをしましたが、「いまだからこそ」と言ったほうが適切かもしれないですね。

エンジニアは、コンピュータ技術の専門家として、自らの技術を、(「環境の変化」に適応できるように)つねに、「最新の」状態にしておかなければならないでしょう。そして、もし、エンジニアが企業のなかで働く組織人であれば、自らの技術が、事業に対して、どのような貢献をすることができるのか、という点を、つねに、検証しなければならないでしょうね。

したがって、「環境の変化」というのは、以下の2つをいいます。
(1) 技術環境の変化
(2) 事業環境の変化


コンピュータ技術が、ますます、詳細に専門化してきて、専門家ですら、隣接領域の技術を知ることができない状態になっています。そういう状態のなかで、専門家として仕事をすれば、いよいよ、自らの技術しか対象にできないし、うっかりすると、自らの技術が最高であるような錯覚を抱くようになってしまいます--なぜなら、ほかの技術と対比できるほど、ほかの技術を知らないから。

エンジニアが、自らの技術を第一義に考えることは、専門家として、当然ですし、ときには、自らの技術が最高であると思いあがることも害のない自由ですが、いっぽうで、事業向けのシステムを作るのであれば、事業に対する貢献を考えないというのでは、ethics に抵触する行為でしょうね。

事業向けのシステムは、事業を対象としているので、「事業の論理」に従って作られます。「事業の論理」というのは、以下の3点を具体化するため使う論理です。
(1) プロダクトに関する考え
(2) マーケットに関する考え
(3) 環境適応能力に関する考え


「戦略」とは、環境適応能力のことをいいます。環境は変化しますから、「理想解」というのは現実的には成立しないので、「制約された合理性」のなかで、最善のソリューションを考えるというのが、「戦略」的思考です。環境適応能力を検証して戦略が立案されたら、事業目的を効果的・効率的に実現するために、組織や事業過程が検討されます。

組織形態として、以下の編成が導入されてきました。
(1) 職能部門別組織
(2) 事業部制組織
(3) マトリックス組織
(4) ネットワーク組織

事業過程として、以下の5つが編成されてきました。
(1) 購買過程
(2) 生産過程
(3) 販売過程
(4) 労務過程
(5) 財務過程


組織および事業過程では、情報が伝達されます。情報を使いながら、事業に参与している人たちが仕事をします。言い換えれば、事業の目的は、事業のなかで使われる情報伝達を整備し運用して、事業を合理的におこなえるようにすることです。情報体系は、事業運営の神経系といってもいいでしょうね。

したがって、情報体系(情報システム)は、以下の2点を前提にしています。
(1) [ 構造的公準 ] 技術の合理化(効率的であること)
(2) [ 環境的公準 ] 技術の有用性(効果的であること)

とすれば、我々エンジニアは、技術の合理化ばかりを考えるのでではなくて、技術の有用性も考慮しなければ、システム構築に関して、ユーザに対する受託責任(accountability)を果たしたことにはならないでしょうね。

技術が、いったん、導入されたら、制度として確立されますから、たとえ、制度が形骸化しても、「効率改善」という自己目的が成立します。しかし、技術が、効果的であるかどうか、という点は、技術のなかでは、証明できない。有用性は、環境との対比(目的との対比)のなかで判断されます。効果を無視して、効率ばかり追究することを、「訓練された無能」と云うそうです。

さて、DOAは、過去30年の歴史のなかで、データベースを中核にして、情報体系の整備に関して、膨大なノウハウを蓄積してきました。いっぽうで、1990年代、インターネットの技術が普及してきて、ウェッブの世界が実現しました。
経営から観れば、インターネット技術は、経営手段の拡張として考えることができます。しかも、そういう世界では、ビジネス・メソッド (いわゆる、ビジネスモデル)が特許の対象となります。

今後、インターネット技術は、ますます、進化するでしょうし、経営手段も拡張されることになるでしょう。
そういう時代を迎えて、次世代を担う若いエンジニアが、自らの技術を「経営の文脈」のなかで使うことができるように、DOA+コンソーシアムは、データベース作りのなかで蓄積したノウハウ(事業を対象にした情報体系の作りかた)を提示しようと考えています。

若い世代のエンジニアが、自らの技術を活かすために、コンソーシアムに参加してくれることを願っています。次世代の経営システムを担うのは、あなたたちですから。


(注)
オリヴァ・ワイト 著、吉谷龍一 訳、
「コンピュータは経営に役立っているのか」、
日刊工業新聞社、昭和52年。
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